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◎奈良県景観資産紹介シリーズ 第12回

奈良県にはぜひ見てほしい景観がたくさんあります。それらを“資産”として活用するとともに、たくさんの方々に足を運んで見てもらい、後世に残していこうと景観資産の登録を開始しました。実際に見てみたい、おすすめのスポットをシリーズで紹介していきます。

【秋野川沿いの下市の町なみ(下市町)】

 

吉野地方への玄関口とも言えるロケーションにあるのが下市町。吉野山を水源とする秋野川が吉野川へと流れ込むあたりにある町です。 歌舞伎の演目「義経千本桜」の「三段目 すし屋の段」の舞台になるなど、歴史が深く、吉野の木材を主とした産業もにぎわっていました。その名残は今も感じられ、秋野川沿いでも町屋や蔵、造り酒屋などが立ち並ぶ町なみを散策することができます。 奈良県景観資産の「水辺景観」のひとつです。

 

 

 

【飽波神社と太子道(安堵町)】

 

飽波は「あくなみ」と読みます。聖徳太子の飽波宮跡だと伝わる神社です。祭神はスサノオノミコトで、境内には聖徳太子が腰を掛けたと伝わる太子腰掛け石があります。 雨乞いとそれが成功して雨が降ったときの歓喜を表現する「なもで踊り」もよく知られています。また、聖徳太子が飛鳥と斑鳩を行き来した道を太子道と呼び、飽波神社はその道沿いにあります。 周囲の風景が変わっても、かつてこの道を聖徳太子が歩いている姿を想像してみたくなる景観です。 奈良県景観資産では「街道景観」として登録されています。

 

 

 

【屏風杵築神社付近の太子道(三宅町)】

 

「杵築(きつき)」は、神道では大国主を指し、出雲大社などとも縁があります。 聖徳太子が飛鳥と斑鳩を往来するのに通ったと伝わる太子道は、三宅町を南北に貫いています。沿道には杵築神社がいくつも鎮座していて、三宅町屏風にある杵築神社は、聖徳太子が休憩した際に腰掛けた石が残る白山神社と向かいあっています。 こうした伝承を知ると、歴史上の偉人としてしか知らなかった聖徳太子が、身近な存在に感じられてくるから不思議です。 奈良県景観資産では「街道景観」として登録されています。

 

 

 

【宇陀松山華小路の風景(宇陀市)】

 

歴史を感じさせる町家や商家が立ち並ぶ宇陀市松山地区。近くに道の駅もあり、アクセスは便利です。 この歴史的町なみの路地に、奈良県が球根生産日本一を誇るダリアの花を敷き詰めるイベントが毎年10月に開催されています。 普段は白壁や日本瓦、杉板など落ち着いた雰囲気の町なみですが、このイベント中は、鮮やかな花々が路地を埋め、歴史と花のコラボレーションを見て、歩いて楽しむことができます。 「華小路」以外の期間も、古都奈良を代表する歴史的町なみを、カフェやギャラリー、薬の館などを巡りながら散策して楽しめます。 「街道景観」に登録されています。

 

 

 

【日本最古の官道 横大路の町なみ(大和高田市)】

 

横大路は、大阪と奈良を東西に結ぶ道。日本書紀の推古天皇21年(613年)の項に、「難波より京(飛鳥)に至る大道を置く」と記されている「大道」のルートと重なります。このことから、横大路は日本最古の官道(国道)とされ、飛鳥時代、奈良時代、そして以後も交通の要衝として重要な役割を果たしてきました。 「街道景観」としての登録です。

 

 

 

【専立寺と寺内町(大和高田市)】

 

関ヶ原の戦いと同じ1600年に創建した専立寺。太鼓楼、築地塀、表門(いずれも市指定文化財)は見ごたえがあります。 この専立寺を中心に寺内町が発展し、商いのまちの基礎がつくられました。特に市町通りは、中和地方の繰綿の集散地として江戸時代中期以降に繁盛し、大和の綿業の中核を担いました。 専立寺は、大和五ケ所御坊のひとつで、「高田御坊」とも呼ばれています。 「街道景観」の登録です。

 

 

 

【五軒屋集落の古い町なみ(上牧町)】

 

2019年に町の前身、上牧村発足から130年を迎える上牧町。「上牧」は「かんまき」と読みます。 この町の一角に、由緒ある古風な町なみが残るエリアがあります。五軒屋集落と呼ばれる、そのエリアは静かな路地が右に折れ、左に折れ、あるいは上ったり下ったりして、続いています。 集落西側には田園風景が広がり、路地を挟む家々の白壁、蔵、瓦屋根などが歴史をしのばせます。近くに五軒屋の雨乞い地蔵や稲荷神社などがあります。 「街道景観」に登録されています。

 

 

 

【川合市場の古い町なみ(河合町)】

 

奈良から大阪へ流れる一級河川・大和川。かつては水運の要衝でした。 河合町の北東部、安堵町と斑鳩町との境に接し、また大和川に富雄川が合流する地点に御幸橋が架かっています。この付近に、かつて御幸ヶ瀬と呼ばれる船着き場がありました。奈良から大阪へ、大阪から奈良へ、多くの物資や人が行き交うエリアでは、当然のなりゆきで市が立ち、大いににぎわいました。 現在も水運で栄えた面影を古い街道沿いに見つけることができます。 「街道景観」としての登録です。

 


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