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奈良の名山を登る 若草山(奈良市)

奈良の山を語るなら、忘れてはいけない山があります。標高は高くありませんが、知名度の高さは奈良県随一です。ファミリーハイキングにおすすめの若草山。

奈良の山を語るなら、忘れてはいけない山があります。奈良公園に来て、この山を見ない人はそうそういるものではありません。それほど象徴的な山。短い芝が斜面を覆い、遠近どこから見ても、あの山ねと答えがわかってしまう、そう、若草山です。標高342m。低山ですが、知名度の高さは抜群です。

 

若草山は、見るだけでなく、登ってみることもおすすめです。というのも、本格的な登山装備は不要で、ピクニックに来ました、観光で来ましたという気軽な感じで登れてしまうからです。

 

入山料が必要な有料エリア(開山期間は3月第3土曜~12月第2日曜)が、山麓から一重目(標高約270m)~二重目(標高約308m)、または山頂やや下のゲートから山麓ゲートまでのエリアに設定されています。例えば大人(中学生以上)は150円かかりますが、若草山を特徴づける芝の斜面、林間の階段を登ってたどり着く一重目より上からの眺望を満喫できる(標高270~300mでもここまで高く広く見渡せるのか!と感嘆するはず)ことを考えると、お得な印象がします。入山料がかからない春日山原始林からのルートで山頂まで登ることもできるとはいえ、有料エリアからの登頂は3歳未満の幼児でも可能なので、家族みんなで若草山の思い出をつくることができます。

 

二重目を越えて、ゲートを出ると、山頂です。そこには古墳時代前期後半築造とされる鶯塚古墳(国史跡)とそれを示す鶯陵碑があります。清少納言『枕草子』に記された「うぐひすのみささぎ」を当古墳とする説もあるようです。春先には山菜採り(ワラビなど)を目当てに登る人もちらほら見かけます。

 

若草山は登り甲斐があるとか、達成感があるとか、そうした感慨を期待して登る山ではありません。半面、奈良を代表する景観を体験的に楽しめる山といえます。毎年1月第4土曜日に行われる、伝統の山焼き・花火も若草山が舞台です。

 

鹿にも、観光客にも、奈良県民にも、眺めてよし、登ってよしの若草山。郷愁、心象、記憶に残る、唯一無二の存在です。

 

 

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