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『大和名所図会』今昔めぐり ④春日野鹿


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江戸時代の作家・秋里籬島と絵師・竹原春朝斎が奈良を訪れ、183点の絵と紀行文をまとめ、寛政3年(1791年)に刊行した『大和名所図会』。奈良県内各地の風景や社寺境内の鳥瞰図、自然や旧跡、年中行事や名産・習俗・伝承などが掲載され、奈良の魅力が盛りだくさんに紹介されています。江戸時代の作家と絵師が見た奈良の名所風景をたどり、追体験を楽しめるスポットを紹介していきます。
【参考】『大日本名所図会 第1輯 第3編 大和名所図会』(大正8年)(国立国会図書館)

春日野鹿 擔茶屋(巻之一)(関連スポット:奈良公園)

 

奈良公園を歩くと、ちらほらと茶屋を見つけることができます。甘味や飲み物で、春日大社や東大寺を参拝したり、公園内を散策したりした疲れを心地よくリフレッシュさせてくれます。特に、春日大社境内にある茶屋は、「擔茶屋」(荷茶屋=にないちゃや)として『大和名所図会』に登場します。

 

絵の左、竹で組んだ支柱に天秤棒を渡して、茶箱と茶釜を掛け、火吹き竹で火をおこしている男性がいます。表札には「春日御茶屋」。参拝を前に浄火・浄水でいれたお茶をいただき、身を清めましょうという役割があったようです。

 

参拝客はお茶を飲んだり、赤膚焼の皿に乗せられた火打焼という餅菓子を食べたり、思い思いの時間を過ごしています。そこへ、もちろん、鹿たちも「何かおいしいものをくれないかな~」とやって来ます。

 

食べ物をわけてあげる子どもと、おしゃべりに余念のない母。しかし、その左手は子どもの帯をしっかりとつかんで、鹿に引っ張られて子どもが腰掛から落下しないように守っています。

 

奥のかっぷくのいい男性は、何やら円く描かれた食べ物(鹿せんべいか?)を空中に放り投げ、それを口でキャッチしようとしている鹿を眺めて、ニンマリ顔。鹿とたわむれて笑顔を見せるのは、老若男女、古今東西、変わらぬ奈良公園の日常風景です。

 

上部には春日野を詠んだ歌2首と、奈良時代に始まる擔茶屋の由来文が記されています。ユーモアたっぷりな場面にも、きちんと解説と博識。旅のガイドブックの役割を果たしています。

 

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