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平城宮跡と渋沢栄一

2021年大河ドラマ・渋沢栄一は平城宮跡の保存にもひと役買っていました。

2021年2月14日放映開始のNHK大河ドラマ『青天を衝け』で描かれる渋沢栄一(1840-1931)は、明治~昭和初期に活躍した実業家です。

 

官僚から実業家に転身した後、銀行・大企業、経済団体をはじめ多くの企業・団体の設立、経営に関わり、また私立学校の設立等、教育や社会的事業にも力を注ぎました。多くの功績から「日本資本主義の父」とも言われています。

 

渋沢栄一は埼玉県出身ですが、奈良県との縁も少なからずあったようです。
その代表が、平城宮跡です。『渋沢栄一伝記資料』によると、関わった公共事業(史蹟保存)のひとつに「奈良大極殿阯保存会」があります。

 

同会は1913年(大正2年)2月の設立。渋沢栄一は、岩崎久弥(三菱財閥創始者岩崎弥太郎の長男で三菱財閥3代目総帥)や三井八郎右衛門(三井財閥当主)らとともに、奈良市郊外の朝堂院阯に標石28基、大極殿阯と内裏阯に記念碑を建立してこれらを保存しようという同会の発起人に名を連ねました。評議員にも就き、金500円を寄付したということです。

 

平城京大極殿は田畑に埋もれていたところ、奈良市の棚田嘉十郎(1860-1921)が“発見”して、保存を呼びかけました。保存会は礎石や碑を設置し、平城宮跡を購入するなどして保存事業を展開。1922年(大正11年)に国が史跡に指定するなどしたことを機に、“事業完成”として同会は役目を終えました。

 

その後、平城宮跡は1952年(昭和27年)に国の特別史跡となり、第一次大極殿や朱雀門が復原され、1998年(平成9年)には世界遺産・古都奈良の文化財を構成するものとして登録されました。

 

現在の平城宮跡は、渋沢栄一も加わった保存事業がなければ、見ることができなかったかもしれません。
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