天川村洞川(どろがわ)から山上ヶ岳1719mをめざします。ルートの前半は木製の階段を含め、丁寧に整備されていますが、頂上に近づくにつれて急勾配の岩場が行く手に現れるなど難所が続きます。それでも、多くの修験者にまじって小学生が元気に登っている姿もあり、ほとんど迷うことのないルートです。麓の女人結界門~山頂往復で約6時間(休憩含まず)、約15㎞の行程です。山頂の大峯山寺は毎年5月3日に開き、9月23日に閉められます(冬期入山はおすすめしません)。※信仰上、女人禁制です。
所要時間 | 日帰り |
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移動手段 | 徒歩 |
スタート
1 清らかな気持ちでスタート「清浄大橋・女人結界門」
橋の手前の大橋茶屋(奈良市内から車で約2時間)に有料駐車場があり、週末を中心に登山日和の日には多くの修験者(この方たちはハイキングや登山と言わず、山上参りと言います)や一般登山者でにぎわいます。「従是女人結界」と刻まれた石柱と「女人結界門」とある門からスタート。杉木立の中、踏み固められた道や階段が設けられた坂道を踏みしめ、登っていきます。
徒歩40分
2 最初の休憩ポイント「一本松茶屋」
スタートから山頂までの標高差約800mという登山を最後まで元気に乗り切るには、体力がある序盤に飛ばしすぎないことがポイントです。慣れた人ならここは通過してもいいですが、風が通り抜ける屋根の下、腰をかけて小休憩するのがおすすめ。水分や食べ物、塩分あるいは糖分をしっかり補給したら、再出発です。
徒歩40分
3 ありがたい「役之行者慈悲乃助水」
通称「お助け水」。夏でもキンと冷たい湧水所。備え付けの杓子で水をすくって、手に取ったり、コップに取ったりしてから使用を。水がたまっているところは、底に砂がたい積しているので、くれぐれもかき混ぜないように。このあたりも勾配はまだやさしい。木々を見上げたり、木漏れ日を感じたりしながら、省エネを心がけて歩こう。
徒歩30分
4 世界遺産の道が通る「洞辻茶屋」
ちょっとした飲食料を販売しています(缶ビールも!)。山中なのでさすがに料金高めの設定ですが、持ち合わせに不安のある人は迷わず補充しておきましょう。この茶屋を貫いて通るのは、大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を構成する史跡です。茶屋の出入り口には不動明王像や役行者像などが設けられ、道中安全を見守っています。
徒歩30分
5 だらにすけ茶屋~鐘掛岩
洞辻茶屋を出ると、尾根道なのか、勾配が緩やかになり、道はいっそう歩きやすくなります。周辺の木々は杉などの植林から、ブナなどの雑木林に変わっていきます。洞川温泉街に立ち並ぶ和漢胃腸薬だらにすけ丸の販売店などの“出張小屋”が並ぶ通称「だらにすけ茶屋」も一服ポイント。お茶や金平糖などを振る舞ってくれます。トイレあり。この茶屋を発つと、いよいよ本格的な修行の道に。左右どちらへも進めますが、左は岩場、右は階段が続きます。本来のルート通り、左へ進む人がほとんどです。鎖を頼りに岩場をよじ登り、鐘掛岩へ。眺望抜群。ただしこの岩を登って進むには、足を置く位置と順番を知っていること、そのサポートをする人がいること、なにより勇気があることが必要です。無理だと感じたら、岩を右へ巻いて通過できるルートがあります。
徒歩15分
6 断崖に身を乗り出す荒行「西の覗」
案内の石に堂々と「日本三大荒行」と刻まれた西の覗岩。断崖絶壁の上から上半身を乗り出し、親孝行や勤勉、家族愛を誓い、不浄を払って生まれ変わりを願う修行です。修行経験豊富な「先達」の方がいるときに申し出れば、体験することができます。もしも断崖の底に…などと考えず、太い命綱と先達を信じて、覗き込んでみよう。先達に「親孝行するか?」「まじめに働くか?」「家族を大切にするか?」などと聞かれ、「はい」と絶叫気味に答えるのが修行です。終われば「ありがたや 西ののぞきにざんげして弥陀の浄土に入るぞうれしき/南無神変大菩薩 南無大日大聖不動明王 オンアビラウンケンソワカ」と唱えて合掌を。高所恐怖症の人や遊び半分では絶対にやってはいけません。
徒歩15分
7 世界遺産「大峯山寺」
役行者を開祖とする修験道の寺院。本尊は蔵王権現。7世紀末創建と伝えられています。平安時代に再興し、参詣者が増えたとも。幅約23mの威容を見せる本堂は1691年再建。中に入ると、山伏姿の修験者が熱心に祈っています。よくぞこの高所に建造したな~と感動します。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として登録されています。山門下に宿坊があり、信者だけでなく一般登山者も宿泊することができます。お参りを終えたら、本堂向かいの小道を少し上がって1719m地点へ。案内では「お花畑」とありますが、笹が一帯を覆っています。眺望、風、光、緑。修行の山道の先には心地いい風景が広がっています。
徒歩2時間30分
8 下山~清浄大橋
一部、登りでは通らなかった道を通る箇所もありますが、基本的に来た道を折り返します。体力的に楽な下りですが、足への衝撃負担は大きいので注意。水分補給もしっかりと行い、最後まで元気に下山しましょう。
ゴールお疲れ様でした!