【1.いろいろな野菜と酒かすの奈良漬】
甘くて香ばしい酒かすの香りに包まれたお漬物…そう、奈良漬です。その名にある通り、奈良が発祥の伝統食品といわれています。
簡単に説明すると、奈良漬とは、日本酒を造るときにできる酒かすを使って、夏の野菜を漬けるお漬物のことで、夏野菜を一年中おいしく食べられるようにと工夫されてきたものです。
奈良の漬物店や土産屋では、カリッ、シャリッと歯ごたえ抜群の白うりの奈良漬をよく見かけますが、他にもナス、スイカ、キュウリ、柿など、製造者が工夫を凝らして、独自の素材と味を生み出しています。お土産にするなら、変わりダネも「珍しいね」と喜ばれます。
【2.1300年前から賞味されてきた歴史】
奈良漬の歴史をさかのぼると、奈良発祥の根拠が2つ見つかります。
奈良時代の政界の重鎮・長屋王の邸宅跡(奈良市)から「加須津毛」(かすづけ)と記載された木簡が出土し、約1300年前の皇族・貴族が賞味していたのでは―と考えられています。
また、奈良市と天理市の境に近い菩提山正暦寺は室町時代に清酒づくりが発祥した地とされ、その酒かすに漬け込まれていた野菜などが奈良漬の原形となった―ともいわれています。
いずれにせよ、江戸時代には幕府への献上品や東大寺などをお参りする人々の土産物として販売され、奈良を訪れた旅人によって全国に広まっていきました。
【3.奈良漬のおいしい食べ方】
奈良漬を買って来て、あるいは土産物としていただいて、さあ食べるぞというとき、酒かすを取ろうと、水洗いするのは禁物です。
酒かすは手やふきんでぬぐい取り(きれいにぬぐったり、少し残したりはお好みで)、ひと口サイズに切ります。酒かすのにおいが気になる人もいるかもしれません。そんなときは、すぐには食べずに置いておくと、アルコール分が飛んで食べやすくなります。
奈良漬が濃い茶色をしているのは、メラノイジンという成分によります。メラノイジンは抗酸化作用やビタミン類の吸収を助ける働きがあるといわれます。油っぽさを抑えてくれるので、白いごはんだけでなく、肉・魚料理にも好相性です。
お茶漬け、おにぎりの具、焼飯の具としても活躍しますし、最近では、アイスクリームや菓子パン、ロールケーキ、サブレなどスイーツとのコラボレーション商品も販売されています。
【4.ここで買えます】
奈良漬の「山崎屋」は明治初期創業の老舗。奈良市の東向商店街にある本店はいつも多くの観光客、市民でにぎわっています。
また、前述したように著名寺社参拝の土産物として江戸時代から人気のアイテムだったこともあり、東大寺門前や長谷寺(桜井市)門前などには数店の奈良漬店が並んでいます。
漬物専門店ではなく、奈良漬の味を決める優れた酒かすを産する酒造会社の奈良漬も逸品ぞろい。ぜひ食べ比べて、「私はこれがイチバン!」という奈良漬を見つけてください。ごはんがもっとおいしくなりますよ。
[注:酒かすに漬けて作られる奈良漬はアルコール分を含む食品です]
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