【奈良県の靴下産業の実力】
今日も靴下を履いている皆さん、想像してみてください。もしもこの世界からすべての靴下が消えてしまったら―。
寒い日も雨の日も裸足、暑い日は靴の中が汗でベトベトして不快。かかとはささくれ立って、くるぶしあたりには靴ずれができて痛い…。大いに困ってしまいます。
そんなことにならないように頑張っているのが、実は、奈良県です。
少し歴史をひもとくと、奈良では降水量の少ない盆地性の気候風土を利用して、江戸時代以前から「大和木綿」が栽培されていました。その木綿から糸を紡ぎ、さまざまな織物を生産。綿糸製糸・機織の優れた技術が奈良県で醸成されていきました。
やがて、製糸や機織を生業とする人たちが、明治以降の生活様式の西洋化で靴下に着目。高品質な原材料と技術をいかして、切磋琢磨しながら靴下づくりが産業として育ってきたのです。
奈良県靴下工業協同組合(組合員数144社)によると、奈良県の靴下生産量は日本一。全国シェアは60.9%(タイツ・ストッキング除く/2015年、以下同)に達し、特にスポーツソックス(86.2%)、子ども用ソックス(76.5%)、婦人用ソックス(64.8%)が高シェアを占めています。
ということは、奈良県の靴下づくりに、もしもの一大事が発生すると、日本はたちまち靴下恐慌に陥ってしまうでしょう。奈良県で今日も元気に靴下が作られていることに感謝したくなります。
【米ぬかで靴下を~こだわりの新発想】
1958(昭和33)年に創業し、「いいものを長く」を合言葉として、感動と小さな幸せを感じてもらえる商品づくりを続けている『株式会社鈴木靴下』(奈良県磯城郡三宅町小柳23-1/代表取締役社長・鈴木和夫氏)も、奈良県、ひいては日本の靴下づくりを支えている一社です。
1990年代にサッカー日本代表チームやJリーグはじめ、スポーツソックスのOEM(相手先ブランド製造)で業績を伸ばしましたが、自社製品でも勝負しよう!と一念発起。その開発ヒントになったのが、兼業で営んでいた米づくりで精米後に捨てていた「米ぬか」でした。
米ぬかで掃除をすると、廊下がピカピカになるし、米ぬかを毎日触っていた手はスベスベだし、米ぬかを捨てるなんてもったいない…。靴下を編む繊維に米ぬかを混ぜることはできないか?
米ぬかを研究している専門家を紹介してもらい、米ぬかの天然成分が入った繊維を試行錯誤の末に開発。そして実際の靴下を試作し、試供、課題、改善、また試作…を繰り返して約3年。履いているだけで肌をケアできる「歩くぬか袋」がデビューしました。
【米ぬかソックス「歩くぬか袋」シリーズ】
渾身の米ぬかソックスを鞄に詰め、首都圏などを営業行脚。人脈もなく、何度も門前払いに遭いましたが、それでも、展示会に出展したり、信頼できる検査機関で“効果”の科学的データを取ったり、あきらめようとしたことはありませんでした。
やがて、米ぬかソックスの効果を実感した人からの感想が届き始めました。自信を大きくした鈴木靴下は、春夏向けの薄生地のもの、足首部をパイル地にしたもの、おしゃれなボーダー柄やドット柄、5本指タイプ、ハイソックス、丈がくるぶし下までの短いもの、ビジネスタイプ…など、バリエーション豊かに米ぬかソックス「歩くぬか袋」をシリーズ展開しています。
開発した「米ぬか繊維SK」は靴下以外にも発展。鈴木和夫社長と、元客室乗務員で後継社長を目指す長女・みどり氏のアイデアは尽きず、ストールやお風呂で体をやさしく洗うミトン、ニットなどの衣服…と、米ぬかの魅力が広がり続けています。
鈴木靴下の米ぬかソックスは、有名百貨店や総合スーパーなどで取り扱いがあるほか、WEB SHOP(http://www.suzuki-socks.shop/)も開いています。
メイド・イン・ナラのお肌にやさしい米ぬかソックス。奈良にはやっぱり、いいものがあります。
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