【12月16日「紙の記念日」】
明治8年(1875年)のこの日、製紙大手の王子製紙の前身会社が工場を操業させました。同工場は、2021年2月からNHK大河ドラマで描かれる実業家・渋沢栄一が、日本が近代化し、西洋の知的水準に追い付くには本の普及、出版の活性が必要だと考え、紙の供給(製紙)を推進したという背景を持っていました。
現存する日本最古の紙は、ご想像の通り、奈良市の正倉院に収められています。702年に作られた紙だそうで、仏教を広める役割を持っていたとされています。
21世紀に入り、デジタル化や出版不況など、紙には向かい風が吹き続けています。経済産業省の統計によると、日本の紙・板紙の生産量は、1990年が計28,086千トン、2000年が計31,828千トン、2019年が計25,401千トンと推移しています。
今後はよりデジタル化が加速することが予想されることから、紙の生産は劇的に増えることはないでしょう。しかし、私たちの好奇心を満たしたり、知的水準を向上させたり、文化を伝えたり、コミュニケーションを創出したりする紙は、エッセンシャルなものとしての役割を果たし続けていくに違いありません。
【12月17日「奈良ホテルにアインシュタインが宿泊」】
奈良を代表するクラシックホテル「奈良ホテル」。明治42年(1909年)、国賓や皇族も宿泊される「関西の迎賓館」として創業しました。明治・大正の華やぎが今も受け継がれている、あこがれのホテルです。
ここに大正11年(1922年)12月17日から2泊、「特殊相対性理論」「一般性相対理論」などの提唱で知られる理論物理学者のアルベルト・アインシュタイン(ドイツ出身)が宿泊。来日途中にノーベル物理学賞の受賞が決まり、日本各地で講演会が催されるなど大歓迎を受けました。多忙な滞在でしたが、アインシュタインは奈良公園散策、春日大社おん祭鑑賞、奈良国立博物館訪問など、古都滞在を楽しみました。宿泊した際、奈良ホテルでアインシュタインが弾いたピアノ(戦後一時行方不明になるが1992年に“発見”、2008年に“里帰り”)は現存しています。
なお、奈良ホテル全館に水道設備が設けられたのも、シャンデリアが現在のものに付け替えられたのも、この年です。
【12月26日「風呂の日」(毎月26日)】
お察しの通り、2(ふ)と6(ろ)の語呂合わせから。これにちなみ、毎月26日を「風呂の日」としたり、11月26日を「いい風呂の日」としたり、2月6日を「お風呂の日」としたり。風呂・温泉好きな日本人ならではの“風呂記念日”が並びます。
奈良県にも名湯がたくさんあります。特に寒い冬の温泉は格別なつかり心地。様々な泉質、内風呂、露天風呂など、野趣に富んだ奈良の湯をお肌全体で味わってみてください。
【12月31日「除夜の鐘」】
一年の締めくくりは、やはり除夜の鐘。新型コロナウイルスに右往左往させられた2020年、大吉だった人も、平凡だった人も、残念だった人も、こうして大晦日を迎えられたなら、「ありがとう2020年」の気持ちが湧いているかもしれません。除夜の鐘が似合う古都・奈良。鐘をついて煩悩を落としたり、ごおおおんと聴いて風情を感じたり。人数限定や開催規模縮小、希望者全員など、鐘をつかせてくれるお寺の情報をチェックしてからお出かけください。